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息を吐くとなぜ、良いのか・・




胸式呼吸と腹式呼吸
肺は自力で膨らんだり縮んだりしているのではなく、周囲の筋肉が働いて動かしています。中でも頑張って働いている筋肉が、ドームの形状をした横隔膜です。この横隔膜が中心となって他の筋肉と一緒に胸腔内の圧力を変化させています。呼吸法はひとつではありません。「胸式」と「腹式」がありますが、どこがどう違うのでしょうか?どちらの呼吸法に馴染みがありますか?


胸式呼吸は横隔膜をあまり動かさない浅い呼吸のため、一度に吸える量は少ないですが素早く呼吸できます。一方、腹式呼吸は息を吸う際にお腹を膨らませ、横隔膜を大きく動かす呼吸法です。一度に吸える空気の量も多くなり、胸式の3倍以上になります。また、胸式よりもゆったりとした深い呼吸になるため、リラックスしているときに行っている呼吸の仕方です。


興味深いことは、日中私たちは胸式呼吸をしていますが、就寝時には腹式呼吸をしている点です。寝ている間は、無意識に呼吸法がシフトします。試しに目を閉じてゆったりとした気分で呼吸してみてください。息を吸うときにお腹が膨らんでいるのが分かるでしょう。


腹式呼吸と聞くと、「やりにくい」と思われる方が多いかと思いますが、実は睡眠中に私たちは無意識に腹式で呼吸しているのです。


腹式呼吸のメリットとは?
腹式呼吸により心身にどのような良い効果を期待できるでしょうか?


・リラックス効果


腹式呼吸によって得られる最大のメリットは、リラックス効果です。たっぷりとお腹から息を吸い、ゆっくり静かに吐くことで副交感神経が優位になります。副交感神経はリラックスしている状態で作用する神経ですが、腹式で呼吸すると、この副交感神経が活発に働くため、気分が落ち着いてきてリラックス効果が得られるでしょう。


大切な会議など、プレッシャーが大きくかかるようなときは、腹式呼吸をすることで平常心を維持し、冷静に考えられるようになります。力がなかなか抜けないときや寝付けないときなどにもおすすめです。


スポーツ選手が試合前にフーッと息を吐き呼吸を整えているシーンをよく見ることがありますが、落ち着いて試合に臨めるように、腹式呼吸でリラックスしようとしているのです。


・免疫力が高まる


副交感神経の作用には、リンパ球を増やす効果が期待できるため、病原体から身体を守る免疫力を高める作用も見込めるとされています。


・インナーマッスルが鍛えられる


息を吸うたびにお腹をゆっくりと膨らませることで、インナーマッスルが鍛えられるので、お腹周りが気になるという方は引き締め効果が期待できます。


・大きな声を出しやすくなる


腹式呼吸をマスターすると、声が普段から小さいという人でも、大きな声を楽に出せるようになるでしょう。また、長く話し続けていても疲れにくいともいわれています。


正しい腹式呼吸の仕方とは?
ここからは、腹式呼吸のやり方は頭の中では理解しているのだけれど、どうもすんなりと出来ないという方に、呼吸の仕方とコツをお伝えします。


慣れないうちは寝た姿勢で行うほうが良いかもしれません。徐々に慣れてきたら座ったまま、あるいは立ったまま行ってみましょう。


以下のステップを確認してください。


1.仰向けに寝た状態で膝をたてて、お腹に手を当てます。


2.最初に大きく息を吐き出し、お腹をへこませます。このとき横隔膜は引き上げられます。


3.大きく息を吸いお腹をできるだけ膨らませます。このとき横隔膜は引き下げられます。


4.呼吸(2と3)を繰り返します。


腹式呼吸のポイント
コツは「息を吐く」ことから始めることです。どうしても「息を吸う」方に意識が集中しますが、息を吐いていないと思うように吸うことはできません。


吐くときは鼻からでも口からでも構いませんが、息を吸うときは鼻から吸いましょう。鼻呼吸は口呼吸よりも空気を多く吸い込めるため、より深い呼吸ができ、リラックス効果が高くなります。


また、腹式呼吸では、丹田(たんでん)というおへそから5㎝位下にあるに箇所に意識を集中させましょう。息を吸う際に両手を丹田のあたりに重ねて意識すると、お腹が膨らませやすくなります。身体の中心に位置する丹田を意識することで、体の軸が保てるようになり、姿勢も良くなるといわれています。


1日5回位から始めてみましょう。慣れてきたらその日の体調に合わせて、徐々に回数を増やし、無理のないペースで進めてみてください。就寝前や起床時に寝たままで行うと続けやすいのではないでしょうか。



心身の不調には、自律神経が関係していることがあります。自律神経を自分で調節することは難しいといわれていますが、呼吸を意識して副交感神経と交感神経のバランスを整えることは可能です。緊張しているとき、ストレスが多いとき、不安を解消したいときなど、ぜひ呼吸に意識を向けてみてください


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